道後温泉のまちに生まれた伊予猿として(7)我が道後は裏切らず…昭和89年のまち

昨夏以来ぐらいだろうか、道後温泉へ来た。

腐る程見た光景ではあるが、一応道後温泉駅を写しておく。

見慣れた道後の街

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駅を出て商店街に入らずに左手へ行くと稲荷神社がある。

お兄さんのような楠がひっそり住宅地に埋もれるように残っている。

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穴場の椿湯

道後温泉本館は観光客で多そうなので椿湯にした。

大半が地元民の利用である。

道後オンセナートの華

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reference:@nifty温泉

蔵のような建物の壁面を見ると道後オンセナートの一環のアート作品が浮いていた。
道後温泉の伝説に残る鷺と道後動物園の動物たちをモチーフにした作品らしい。

椿湯の館内にも近未来的なアート作品があった。

道後の湯にも近代化の波

脱衣所に入るとちょうど昼下がりでお年寄りが多く着替えをしている。

浴室の洗い場もほぼ満席で相変わらずの道後町民の憩いの場である。

十年の汗を道後の湯に洗へ

子規

湯釜に刻まれた子規の句を確かめた。

熱いことで知られている道後の湯だが今日はぬるめで入りやすかった。

風呂から上がっていつものように熱いお茶を飲もうとするとコンロにやかんがかかっていたはずのところに、高速道路のサービスエリアや定食屋などで見かけるボタン式の【お茶】や【冷水】のベンダーに変わっていた。

かつて、とろ火で沸いていたお湯を小さなアルミのやかんに注ぎ、大量のお茶っぱのため眠気も覚めるほどの苦いお茶をプラスチックの湯のみに注ぐ。

それを親指、人差し指、中指の三本の先でつまんで、熱さを我慢しながらふうふうと飲んだ。

飲み終わった湯のみは次の人のために近くの蛇口の水で軽く注いだのだった。

ああ、また一つ、道後からも昭和が消えたのかと寂しくなった。

脱衣所で聞こえた驚きの会話

名残を感じつつ、帰ろうとすると、来たときから話し込んでいるお爺さんが二人。

白黒写真のアルバムを見せ合いながら昔の話に花を咲かせている。

話しているのが小耳に入ってきた。

『志願兵が…』

『シベリアから帰って来た…』

ああ、ここにはまだ昭和が厳然と聳えている!

この二つの単語を聞いただけで、湯疲れが吹っ飛び気持ちが軽くなった。

道後は今年も、いよいよ昭和89年である。