【自作詩】可動式の塀

年をふるごとに
人生の終着点が遠ざかっていく
そして
命の終わりが近づく

生き方は未完成で
そこにゆらぎがある

時間が
薄まっていく

追い掛けられる時間より
追い掛ける時間が増える

暇つぶしが
日々の目的となり
人生を支配するものは
時間ではなく
生き方に内蔵される無数の襞

知り尽くしたことに:混乱するよりも
知らないという_カラーの中に潜む=
知らないという_(地球が、たった一つの、いま指先でつまんでいる直径3センチのガラス球の、)の中に潜む」わたしは
知らないことの計測不可能な重量に、
片足が すでに
あの世界に、

わたしの家の囲い塀は
生まれたときから可動式で、
けれども
ただ ずっと固定されている

気づくと家の壁すれすれに近づいている

かすかな残像を覚えていて。

5歳の時の、リアルな記憶。

この壁は、今より数メートル
もっと通りに位置していた。

詩 可動式 壁 たいろう

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