【詩】居場所

男の子を見て、母が
「女の子みたいだ」と言った
たしかにそうだ
でも
やがて男になるのだ、きっと

もはや
居場所が無いのである
居場所は自分で作るものなのか

すでに
居場所が無いのである
ぼくは
朝陽を夕陽と偽って生まれた

そして
居場所が無いのである
あたしは男女の谷川で生まれた

苦しくて
居場所が無いのである
人は誰も知らない
もうすぐ誰かがこの世を去ることも
誰かが
産まれて来ることも

もぎ落とされた両手
両足を
探すだけの日々

ぼくは
あきらめることも
あきらめないことも
しない

すべては雲の中
すべては大地の中
そして
すべては
息のしない
胎児の中