【詩】秘密の旋律

すべての〈人〉の
死に行く様を
助けることなく

看取ること
見届けること
だけが
人生のすべての秘密

あらゆるかなしみは
何もしなかったという
後悔から。

あらゆるよろこびは
何もしないでいいんだよという
安心から、

遠く
山のむこうから旋律が聞こえるとき
わたしの背負う
自分であって
自分でない思いが
背中をやさしく
撫ぜる