【自作詩】シリウスから来た梟

遠くから
眺めるだけのかたち
の愛もあって、
愛とは闇夜の地脈で湧水の流れる

手の届かない愛というものはない
愛がすべて、
手が届かないと錯覚しているだけだ

何も知らずに
この世に降り立った老人とも死霊とも見分けのつかぬ赤子
もっとも意思の強き者
そして、私は
シリウスの極北から来し者。
極北、
極端、
破綻の似合う者

誕生と共に死滅し
死者とともに蘇生する一人の神が
シリウスの体表温度を測りに来る

何も知らないというすべてを持つ
老人としての赤子は、
学ぶことをみな放棄していて
必要な時
必要なこと
必要な人
が打ち寄せては
消える

彼は赤子の老人になっても
暦の計算をすることも
死後の自分を語り継ぐこともないだろう

生きている
そのものに罪があるとするならば
すべてが自分の手のひらにある
と思い込むこと

私は明日
遺伝子操作を受けた
未来は伸ばせても
過去を伸ばすことはできない