沖縄と琉球に揺れて(3)聖クララ教会と紫の聖母

突き当たりに与那原警察署があり、その裏手の高台に一際目を引くベージュ色の建物がある。

深紅の十字架が見えれば、それが聖クララ教会である。

アッシジのクララ

聖クララとはスピリチュアルの世界でも畏敬の念を持たれるアッシジのフランチェスコの愛弟子のことを指す。

ローマカトリックでも聖人に列せられていて、アッシジのキアラ(伊)やクレア、クララとも呼ばれる。

13世紀初頭のイタリアのアッシジで、フランチェスコの路上説教に感銘を受けた貴族の娘・キアラは裕福となるはずの結婚を避けて出奔し彼のもとで修行に入った。

『聖クララは空っぽになった貝殻のよう。

神はその中にご自分の賜物を注ぎ入れることがお出来になるのです。』

ヨハネ・パウロ2世(聖クララ生誕800年祭にあたっての教皇書簡より)

そこにステンドグラスはあった

ネットで見た数枚の教会内部の様子と聖クララの存在に導かれたのも、今回の沖縄にやって来た大きな理由のひとつといってよい。

警察署横の坂道を進み幼稚園の敷地にある階段を上がると教会の建物が出迎えてくれた。

沖縄らしい花レンガ。

玄関へのアプローチには壁面に沿って白百合が咲いている。

カトリックといえばやはり真っ白な百合。

玄関を入ったところ。時空を忘れてしまいそうな佇まい。

ちょうど笑顔の素敵なシスターがいらして見学したい旨を伝えると、

「どうぞどうぞ。今日はキリストが磔になった聖金曜日ですから、マリアさまは紫の布で覆っていますよ」

とやさしく迎え入れてくれた。

教会内部、ほんと素晴らしい空気である。

とりわけマリアさまがいらっしゃるあたり、濃密なエネルギーを感じて、祭壇前に敷かれた畳の上でしばらく時を忘れて見つめていた。

紫の聖母遥かに惑いし眼

たいろう

ヨナ=キリスト

与那原そして与那国島のヨナとは、キリスト意識を指すのかもしれない、とふと感じた。

与那国島からの海の民が沖縄本島、与那原までやって来たイメージ。

与那原の町の高台に聖母のカトリック教会がキリスト意識を包み込むよう。

マリア意識の母胎、受け皿として。

沖縄のためか、琉球か。

この拡がり湛える南の時空をマリアの愛で覆い尽くすためにとても重要な聖地であると感じた。