野菜の苦味が美味しい季節だ。
春になると、わらびやぜんまいといった山菜や高菜やほうれん草、菜の花などの葉物が店頭に並ぶ。
苦味から季節を感じる野菜といえるだろう。
野菜で身体を季節に馴染ませる
旬の食材を積極的に食べることは、身体を、訪れる季節に馴染ませる効果がある。
玉ねぎ、にんじん、じゃがいもなど、スーパーに行けば一年中いつでも手に入る野菜が多い。
大根やほうれん草など季節のイメージと結びつきが強い野菜でさえ、ハウス栽培で冬でも夏でも食べられるようになった。
山菜となるとどうだろう。
乾物を戻して秋冬によく芋の煮込みで使われたりもするが、春に食べるものこそ気持ちも身体も一番素直に喜ぶ気がする。
つくしを食べる食文化
食べる山菜にも地方色がある。
つくしは一般的には春の土手などに生える雑草扱いのようだが、畿内や瀬戸内を中心に西日本ではつくしを食べる地域も珍しくない。
土手で採ったつくしはまず「はかま」と呼ばれる茎ごとに出ているスカート状の節を取る。
そして、水にさらしてアクを抜いて、卵とじや甘辛く煮付けるのがシンプルで美味しい食べ方だ。
ただ、つくしだけでなく土手や山間部に生える山菜も、一帯で農薬を使っていることがあるので、おいそれとは食べられなくなった。
スーパーの生産者コーナーや道の駅で買うほうが安心だろう。
身体を目覚めさせる春野菜
甘辛く煮付けたつくしは、ほろ苦さがあって、身体が目覚める感覚を持つ。
まだまだ冬眠から覚めやらぬ私たちに、山菜の恵みが、春から初夏にかけて必要な身体のスイッチを入れてくれるだろう。