【自作詩】弱さを水で割ると

梅雨の晴れ間に

紫陽花

蛙がざらついた露を

引っ張ってくる

霧の濃い

朝に

仔鹿は

9割の強さと

1割の弱さを持つ

1割の弱さに気を取られて

9割の強さを忘れ

1割の弱さを酸素の薄い水で割る

その底で

10割の弱さがあるのを

直視しないために

霧の中に見え隠れする

紫陽花

本当の弱さを教えてくれる

10割の弱さを伝えられる人

1割の弱さだけを見つけられる人

直視できる強さが

やさしさとなり

やさしく見つめられることが

本当の強さとなる